価値の基準としての金
紀元前1350年頃になると、金の純度を測定する技術が開発されました。その後、初めて貨幣として金が使われるようになりました。最古の金属貨幣と言われているのは紀元前7 – 6世紀にリディアでアリュアッテス2世王により造られたエレクトロン貨です。天然の金銀合金に動物や人物を打刻しています。中国では、金はもともと装飾品として広く使われていましたが、春秋戦国時代に貨幣や象嵌材料として使用されるようになりました。
日本の金歴史がスタート
日本の歴史に金が登場したのは8世紀だと言われています。現在の宮城県で金が確認されたことが「続日本記」に記録されていて、東大寺の大仏にも金メッキが使われていました。そして、マルコポーロの「東方見聞録」によれば日本は黄金の国でした。実際とは多少異なっているとは言え、「黄金の国ジパング」というフレーズはコロンバスを魅了させアジア大陸を目指すなど、大航海時代に導く原動力になったと言われています。
スペインのインカ帝国侵略
あまりにも価値が高いとそれを巡って争いが発生するのは自然な現象なのかも知れません。金に関連する侵略の歴史としてスペインのインカ帝国侵略があります。アンデス山脈に存在していた巨大なインカ帝国を支えていたのは金の採掘でした。スペインが金を狙って攻撃した時、金だけではなく太陽の神殿や寺院なども破壊してしまうほど恐ろしい勢いで金を奪っていきました。しかし莫大な量の金をヨーロッパに持っていったせいで、インフレが発生し、スペインの国力が弱くなったとされています。金にまつわる欲望と嘆きが感じられる歴史です。
ゴールドラッシュ
金の誘惑は近代になってからも変わらなかったようです。1848年、アメリカのカリフォルニア州で砂金が見つかったというニュースを見て世界各地から人々が集まりました。集まった人は10万人以上だったとも言われていて、その後は金山も発見されるなど、金によって歴史が変わった代表的な地域の一つです。個人的にゴールドラッシュという言葉には一攫千金だけを狙う人たちの集まりの意味があると思いますが、その分金の偉大さについても考えさせられます。
終わりに
上述のような歴史を経てきた金は今では装飾品や産業部品だけでなく投資商品としても認められています。はじめに金を元素として説明しましたが、投資対象が元素になることを考えると少し不思議な感じもします。まるでまったく目に見えないものに投資するような気もしますが、実際には他の投資商品に比べて一番確実な形態を持つ投資資産でしょう。重さのあるゴールドバーや美しい装飾品として手にすることが出来ます。
そして金は将来的に考えても投資価値があると思います。金の将来的な生産量はある程度決まっていて新しい金脈が爆発的に発見される可能性は少ないでしょう。つまり、金の価値を遥かに超える貴金属が大量に発見されない限り金の希少価値は長期的な観点で考えると高まり続けることになります。投資商品を100%安全資産として信じてはいけないと思いますが、金はその「永遠の価値」を今まで証明してきたように、今での人々の間では、一瞬で価値がゼロになるかも知れない投資商品のリスクを相殺できる商品として人気を誇っています。
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